好きな絵本作家、ショーン・タン。
ファンタジーのようでとても現実味を帯びていて、悲しくて幸せで、希望も残酷もあるお話を見せてくれる。
両極端が共存しているからこそ、絵本の中だけでなく三次元のこととしてこちらにズシっと届いてくるのかなぁと感じます。
中でも『エリック』(河出書房新社)はぜひ読んでと声に出したい一冊。
よく分からない相手を理解すること、受け入れることについて考えさせられる本です。
よく分からない相手、ここでは交換留学生エリックとして描かれていますが、それは親と子、ジェンダー、障害のあるなし、国の違い、世代などなど、色々と日常的に当てはまるような気がします。
自分とは違う相手と温かく交流することについて教えてくれる優しい優しい絵本。
ネタバレするので詳しくは書けませんが、眼差しがとにかく深くて現実に沿っているのです。
巷に溢れている〝多様性〟の表現、解釈とは一味も二味も違う‼︎
子育ての中で抱いた歯痒さや不安を思い出され、それで大丈夫と言ってもらえたような気がします。
『セミ』(河出書房新社)も静かで激しい一冊。
上手過ぎる絵に震えます。
内容は何も知らずにページをめくりながらじっくり味わって欲しい一冊です。