『HSPブームの功罪を問う』(岩波ブックレット)
著:飯村周平
この本のタイトルを見た時、手に取らない理由はないと思いました。
昨今のHSPブームに、少ししっくりこない感覚があったからです。
mamani yoga でも、日常の刺激に疲れやすいHSPの方に向けたヨガを行っています。
実際HSPの苦しさ、生きづらさは、そうでない方々からしたら想像しづらいほど強い感覚なのです。
心と体に痛みを伴うような…そんな感覚があるのです。
わがままだとか気にしすぎだとか、神経質だと言われることも多く、過度な我慢を強いられることになります。
感覚的なものは外から見えにくいので、尚更共感を得にくいんですよね。
なのでこのブームによって、認知度が高まったことはよかったことだと思います。
でも一方で、向けるべき問題に目が行きにくくなってしまっていることも否定できません。
『繊細』という言葉の持つイメージが隠れ蓑のようになってしまい、例えばその苦しさが発達障害であった場合には具体的な支援に結びつきにくくなってしまったり、自己判断で誰でも声を上げやすくなったことでイメージが先行して誤解が生まれたりもしているのです。
また、ブームで情報が溢れかえっていることに疲れ果てる当事者もいると思います。
ブームがいい悪いということではなく、その陰で起こりうる問題に影響を受けてしまう方がいることにも目が向けられてほしいと感じています。
ネーミングやラベリングではなく、本人にきちんと向き合っていけるような広まり方になっていくといいな。